日程
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Journal Club
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Progress report
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(8:30〜9:30)
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(9:30〜12:00)
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2012年(平成24年)
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Group-1
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Group-2
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2/1(金) |
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1/25(金) |
- 担当者:塚本 博丈
- 論文:Th9 cells promote antitumor immune responses in vivo
Yong Lu, et al.
The Journal of Clinical Investigation 122: 4160-4171, 2012(Nov.)
- 要約:20年以上前に発見されたIL-9は近年、免疫システムにおいて様々な機能を持つサイトカインとして再び着目されている。特に、IL-9産生性のエフェクターCD4+T細胞として新たに定義されたTh9細胞は、自己免疫疾患やアレルギーなどの病態に関与することがわかり、その詳細な機能について盛んに検討がされている。しかし現在まで、腫瘍免疫におけるTh9細胞についての報告は乏しく、その機能についてのコンセンサスは得られていない。
本論文では、腫瘍免疫、特にCD4+T細胞を介した抗腫瘍効果におけるTh9細胞の効果を、マウスのメラノーマ肺転移モデルを用いて検討を行っている。そして、筆者らは担癌個体においてIL-9の活性を中和抗体により抑制すると腫瘍の増生が促進することを見出した。一方、腫瘍特異的Th9細胞を移入した場合には、強い腫瘍抑制効果が示された。これらのことから、Th9細胞が産生するIL-9は腫瘍拒絶に大きく貢献することが示唆された。詳細な解析により、Th9細胞が産生するIL-9は、腫瘍局所の上皮細胞に働きかけCCL20の産生を促すことにより、CCR6依存性にDCをリクルートさせる機能を持つことが示された。さらに、腫瘍局所におけるDCの積極的な遊走は、腫瘍特異的なCD8+T細胞の活性化を促進し、腫瘍拒絶を誘導しているものと考えられた。この仮説は、CCR6を欠損する担癌マウスではTh9細胞依存的なDCの遊走、およびそれに伴う腫瘍特異的CD8+T細胞の活性化が誘導されないという観察により、支持される。さらに、CD8+T細胞活性化、および腫瘍拒絶におけるTh9細胞移入の効果は、腫瘍特異的Th1移入の場合に観察されるそれよりも高く、Th9細胞の重要性が示唆された。以上の結果より、CD4+T細胞による抗腫瘍効果において、IL-9/Th9細胞は重要な役割を担うことが示唆され、これらの知見は今後の抗腫瘍免疫によるがん治療のアプローチに役立つことが期待される。
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1/18(金) |
- 担当者:湯野 晃
- 論文:Decline in miR-181a expression with age impairs T cell receptor sensitivity by increasing DUSP6 activity
Guangjin Li, et al.
Nature Medicine 18: 1518-1524, 2012(Sep.)
- 要約:ヒト免疫系がワクチン接種に対して応答する能力は年齢とともに低下する。我々は、ナイーブCD4+ T細胞では、T細胞受容体(TCR)誘導性の細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)リン酸化に年齢に関連する欠陥が生じるが、その一方でζ鎖結合プロテインキナーゼ70(ZAP70)やホスホリパーゼC-γ1のリン酸化のような他のシグナルは障害されていないことを明らかにした。ERKシグナル伝達の異常は、二重特異性ホスファターゼ6(DUSP6)によって引き起こされ、DUSP6タンパク質の発現はmiR-181aによる抑制の低下によって加齢とともに増大した。miR-181aの再構築は、高齢者のナイーブCD4+ T細胞でDUSP6の発現を低下させた。miR-181aもしくは特定のsiRNAを用いたDUSP6抑制、およびアロステリック阻害剤である(E )-2-ベンジリデン-3-(シクロヘキシルアミノ)-2,3-ジヒドロ-1 H -インデン-1-オンによるDUSP6阻害はCD4+ T細胞応答を改善し、活性化マーカーの発現増加、増殖の改善や優先的な1型ヘルパーT細胞分化の促進が見られる。DUSP6は、高齢者のT細胞応答を回復させるための治療標的となる可能性があり、T細胞応答の回復はワクチン接種の有効性を高めると考えられる。
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1/11(金) |
- 担当者:今村 悠哉
- 論文:Regulatory T Cells Increase the Avidity of Primary CD8+ T Cell Responses and Promote Memory
Luigia Pace, et al.
Science 338: 532-536, 2012(Oct.)
- 要約:Tregは自己反応による自己免疫疾患を制御したり、炎症や腫瘍免疫、感染免疫などについても抑制作用を示すことが明らかになっているが、T細胞が非自己の抗原に反応している際、どのような役割を担っているかまだよくわかっていない。そこで今回マウスにおいてTregが免疫反応の初回抗原刺激の際に重要な役割を担っていることを示した。Treg減少下では抗原提示する樹状細胞と低い結合活性のT細胞との相互作用を安定化させるCCL-3/4/5ケモカインの過剰産生のため、低い結合活性のCD8+T細胞の活性化、増殖を引き起こした。またTreg不在下では一次免疫反応の結合活性が阻害され、その結果、リステア・モノサイトゲネスのメモリーT細胞が減少した。これらの結果から、TregはCD8+陽性T細胞の初回抗原刺激の恒常性に重要であり、また高い結合活性の一次反応と有効なメモリーT細胞の誘導に重要な役割を担っていることが示唆される。
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