日程
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Journal Club
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Progress report
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(8:30〜9:30)
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(9:30〜12:00)
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2012年(平成24年)
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Group-1
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Group-2
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12/28(金) |
- 担当者:平山 真敏
- 論文:Induction of tumoricidal function in CD4+ T cells is associated with concomitant memory and terminally differentiated phenotype.
Daniel Hirschhorn-Cymerman, et al.
The Journal of Experimental medicine 209: 2113-2126, 2012(Oct.)
- 要約:CD4+T細胞は腫瘍免疫において重要かつ有力なmediatorであり、腫瘍特異的なCD4+T細胞細胞を養子免疫することで、マウスや人において高い抗腫瘍効果が認められることは以前より示されてきた。一方、補助受容体の一つで、活性化CD4+T細胞細胞上に発現するOX40のアゴニストをマウスに投与すると抗腫瘍効果が認められることも以前より示されていた。今回著者らは、腫瘍特異的なCD4+T細胞T細胞をマウスに養子免疫する際に、cyclophosphamide(CTX)とOX40アゴニスト抗体(OX86)を併用すると最も高い抗腫瘍効果を示し、かつ養子免疫した腫瘍特異的なCD4+T細胞T細胞が腫瘍に対する直接的な細胞障害性を有し、exhaustとmemoryの両方のマーカーを発現し、Th1サイトカイン及びTh2サイトカインを分泌する独特なphenotypeに分化していることを報告している。これらの知見から、CD4+T細胞細胞を養子免疫する際にCTXやOX86を併用することによって、養子免疫したCD4+T細胞細胞に再プログラミングが起こり、抗腫瘍効果の促進につながる可能性があることが示唆された。
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12/21(金) |
- 担当者:高松 孝太郎
- 論文:Anti-apoE immunotherapy inhibits amyloid accumulation in a transgenic mouse model of Aβ amyloidosis
Jungsu Kim, et al.
Journal of experimental medicine 209: 2149-2156, 2012(Nov.)
- 要約:アポリポプロテインE (APOE) ε4は、孤発性アルツハイマー病における最大のリスク遺伝子である。アルツハイマー病の病態におけるAPOEの関与は、アミロイドβ ( Aβ)の蓄積に対する作用と考えられており、in vitroでAPOE が、Aβに作用してAβの線維化を促進することが知られている。またAPOEは、アミロイドプラークを構成する成分の一つでもある。これらの知見から本論文では、抗APOE抗体がアミロイドプラーク内のAPOEに結合し、ミクログリアによるアミロイド分解作用を活性化して抗アミロイド作用を示すことを証明した。作成したモノクロ−ナルAPOE抗体(HJ6.3抗体)を4ヶ月齢のAPP swe/PS1△E9 マウスに14週間腹腔内投与した。HJ6.3 抗体はアミロイドの蓄積を60 - 80%抑制、不溶性Aβ40, Aβ42も著明に減少した。短期間のHJ6.3 抗体投与により、アミロイドプラーク周囲のミクログリアから産生される炎症性サイトカインが抑制された。これらの結果は、抗APOE抗体による免疫療法が、アルツハイマー病の新しい治療戦略となりうること、さらにはAβの蓄積、凝集に関与するそのほかのタンパク質に対する抗体療法も治療のターゲットになりうることを示唆する。本論文の結果は、ミスフォールディング蛋白疾患に対する抗体療法が、新しい治療のオプションとして期待できることを示した点でも重要である。
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12/14(金)10:30より |
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11/16(金) |
- 担当者:MD Abu Sayem
- 論文:Widespread CD4+ T-cell reactivity to novel hTERT epotopes following vaccination of cancer patients with a single hTERT peptide GV1001
Else-Marit Inderberg-Suso, et al.
OncoImmunology 1: 670-686, 2012
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11/2(金) |
- 担当者:真崎 雄一
- 論文: Tumor-infiltrating DCs suppress nucleic acid-mediated innate immune responses through interactions between the receptor TIM-3 and the alarmin HMGB1
Shigeki Chiba, et al.
Nature Immunology 13: 832-843, 2012(Sep.)
- 要約:腫瘍の微小環境は、核酸を介した自然免疫に影響を及ぼしているが、そのメカニズムは謎である。本論文おいて、著者らは、本来、核酸によって活性化されるべき自然免疫が、腫瘍において抑えられるのは、TIM-3 (T Cell immunoglobulin and mucin domain 3)のためであると報告している。DNAやRNAといった核酸は、Toll-like レセプター(TLR3, TLR8, TLR9)や細胞質核酸センサー(RIG-I-like レセプターなど)を介して、樹状細胞の自然免疫反応を活性化することが知られている。しかし、腫瘍に浸潤している樹状細胞では、腫瘍から放出されたIL-10やVEGF-Aなどの働きによってTIM-3の発現が高くなっており、これにより自然免疫反応は抑えられてしまう。さらに、この抑制メカニズムを調べてみると、これまでTIM-3のリガンドとして知られていたガラクチン9は関わっておらず、代わりに、今回、新たにTIM-3の結合分子として明らかになったHMGB1(high mobility group box-1)が関わっていることが分かった。本来、HMGB1は、核酸と結合し、樹状細胞のエンドソームへの核酸の移行を行っているが、TIM-3が高く発現していると、HMGB1はTIM-3と結合してしまい、核酸とは結合できず、核酸のエンドソームへの移行は抑えられてしまう。さらに、TIM-3は、DNAワクチンや化学療法によって死んだ細胞から放出された核酸の免疫原性を減少させることで、これらの治療効果を弱めていることも明らかになった。このように、今回、腫瘍の微小環境で、核酸を介して抗腫瘍免疫を抑えているメカニズムが明らかになった。
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10/19(金) |
- 担当者:池田 徳典
- 論文: T cells become licensed in the lung to enter the central nervous system
Francesca Odoardi, et al.
Nature 488, 675-679, 2012(Aug.)
- 要約:中枢神経系(CNS)は、脳血管関門(BBB)によって末梢免疫細胞から保護されているが、多発性硬化症等の中枢神経系に発症する自己免疫疾患の場合、この状態の破綻を来たしており、主にミエリン反応性の自己反応性T細胞がBBBを超えて侵入する事で脱髄を来たすと考えられている。
著者らは、実験的自己免疫性脳脊髄炎のLewisラットモデルを使用し、このラットにミエリン特異的なT細胞芽球を静脈投与したところ、殆どの細胞が一時的に肺に定着することを報告している。肺に定着したT細胞は、気道内を移動して気管支関連リンパ組織や縦隔リンパ節に移動し、そこから肺循環血中へ入ってCNSへ到達していた。またT細胞は、この移動の間に遺伝子発現プロファイルの再プログラム化が起こっており、移入前のT細胞芽球と比較した場合、活性化に関与した遺伝子発現の低下を認める一方で、細胞運動に関与する分子やケモカイン、接着分子の受容体に関係する遺伝子発現は増加していた。
このような結果から、肺組織は自己反応性T細胞が標的組織へ侵入するための修飾(準備)を受ける重要な臓器である可能性が考えられた。
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10/12(金) |
- 担当者:矢津田 旬二
- 論文: Multipeptide immune response to cancer vaccine IMA901 after single-dose cyclophosphamide associates with longer patient survival
Steffen Walter, et al.
Nature Medicine 18: 1254-1261, 2012(Aug.)
- 要約:IMA901は、ヒトのがん組織に本来存在することが確認された複数の腫瘍関連ペプチド(TUMAP)から構成される、腎細胞がん(RCC)に対する最初の治療ワクチンである。 著者らは、連続した2つの臨床試験で、進行性RCCでヒト白血球抗原A(HLA-A)*02 + の被験者合計96人でIMA901による治療を行った。第1相臨床試験では、複数のTUMAPに対する患者のT細胞応答が、より良好な疾患管理、およびワクチン投与前のFOXP3(forkhead box P3) + 制御性T(T reg )細胞数がより少ないことと関連していた。無作為化第2相臨床試験では、シクロホスファミド単回投与がT reg 細胞数を減少させることが示され、複数のTUMAPに対する免疫応答がより長い全生存期間に関連することが確認された。さらに、MDSCのあらかじめ定めた6つの細胞集団のうちの2つが全生存期間の予後マーカーであること、また、300以上の血清バイオマーカーの内で、 APOA1(apolipoprotein A-1)とCCL17 [chemokine(C-C motif)ligand 17] がIMA901に対する免疫応答と全生存期間の両方の予測マーカーであることを明らかにした。現在、IMA901による治療の臨床的有益性を決定するため の無作為化第3相臨床試験が進行中である。
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