日程

Journal Club

Progress report

(8:30〜9:30)

(9:30〜12:00)

2010年(平成22年)

Group-1

Group-2
12月24日(金)
  • 担当者:塚本 博丈
  • 論文:Role of antigen persistence and dose for CD4+ T-cell exhaustion and recovery
    Proc. Natl. Acad. Sci. USA 107: 20453-20458, 2010(Nov.)
  • 要約:HIV、HCV等、またマウスLCMVの慢性感染モデルでは、exhaustionと呼ばれる、抗原の長期的な暴露によって誘導されるT細胞の機能不全が観察され、この現象が慢性感染における免疫不全のメカニズムの一つとして考えられている。さらに、このT細胞のexhaustionは、担癌固体における抗腫瘍T細胞応答に対する免疫抑制機構の一つとして注目されつつある。これまでの研究では、CD8+キラーT細胞のexhaustionに関するものがほとんどであり、CD4+ヘルパーT細胞については未だ不明な部分が多い。本論文では、抗原の量や発現期間を調節できるトランスジェニックマウスを用いることにより、これまでの解析で混同されていた、慢性感染やがんに伴う慢性炎症や疾患の進行による他の免疫担当細胞への影響を排除して、純粋にCD4+T細胞が認識する抗原の量や発現期間とexhaustionの誘導の関係性について詳細に検討を行っている。このトランスジェニックマウス内では、長期間抗原に暴露されたCD4+T細胞は in vivoで長期間生存するものの、再刺激により誘導される増殖応答やサイトカイン産生などの機能的なメモリー機能が減弱していた。さらに、不応答性となったCD4+T細胞では、これまでexhaustしたCD8+T細胞で報告されているPD-1の発現上昇、細胞内カルシウムの上昇反応の減弱が観察されなかった。この長期間の抗原暴露により不応答性を示したCD4+T細胞においても、抗原暴露を中止した場合、ある程度増殖応答は回復したが、一方でIL-2やTNF-αの産生能の回復は見られなかった。これらの結果は、抗原の長期的な暴露自体がCD4+T細胞の一部、不可逆的なメモリー機能不全状態を誘導し、それはCD8+T細胞の場合とは異なることを示唆する。このことは、慢性感染症や担癌固体におけるワクチンを開発する上で、CD4+T細胞の機能抑制のメカニズムとして考慮に入れる必要があると考えられる。
  • 林田
  • 木庭
  • 遠藤
  • 矢津田
12月10日(金)
  • 担当者:真崎 雄一
  • 論文:Suppression of antitumor immunity by stromal cells expressing fibroblast activation protein-α
    Science 330: 827-830, 2010(Nov.)
  • 要約:腫瘍の間質は、造血細胞と間葉細胞とから成っており、抗腫瘍免疫に対して抑制的に働くことが知られている。今回、著者らは、ヒトの腫瘍の間質細胞で、最初に、その発現が見つかったFibroblast activation protein-α(FAP)の腫瘍における役割を調べるために、FAP発現細胞をなくすことできるトランスジェニックマウスを作成し解析を行った。FAPを発現している細胞は、ルイス肺癌細胞株をなくすと、腫瘍細胞、間質細胞で、それまでFAPによって抑えられていたインターフェロンγや腫瘍壊死因子α(TNF-α)に対する感受性が元に戻り、いずれの細胞も低酸素によるネクローシスを起こした。さらに、膵管腺癌細胞株を皮下に注射することによってできた腫瘍に対しても同様の効果が得られた。以上のことから、FAPの発現細胞は、抗腫瘍免疫に対して抑制的要素であることが明らかとなった。
  • 冨田
  • 羽賀
  • 頼仲
  • 池田
  • 高松
11月26日(金)
  • 担当者:木庭 千尋
  • 論文:Tumor-Specific CD8+T cells expressing interleukin-12 eradicate established cancers in lymphodepleted hosts.
    Cancer Research 70: 6725-6734, 2010(Sep.)
  • 要約:T細胞を基本とした免疫療法は大きな血管新生化を伴う腫瘍の治療に有効であるが、多量の腫瘍特異的なT細胞とともに癌抗原ワクチンとIL-2の投与を必要とする。この論文では、外因性のワクチンとIL-2の非存在下で、IL-12遺伝子を高発現するように遺伝子操作したT細胞を用いた治療の有効性について述べられている。IL-12遺伝子を導入したT細胞はホスト内で長期間活動できないが、内在性のNK細胞とCD8+T細胞の機能を高め、それらの細胞と共に腫瘍内へ浸潤することができた。IL-12遺伝子導入されたT細胞は、腫瘍内でもIL-12を多量に産生でき抗腫瘍効果を誘導したが、外因性IL-12を高用量で供給しても治療効果は認められなかった。この治療実験は、放射線照射によりリンパ球を激減させることが必要条件となっている。また、IL-12を導入した細胞は腫瘍特異的なT細胞レセプター(TCR)を発現する細胞で、そのTCRとIL-12の両方を発現する細胞でのみ抗腫瘍効果が確認された。この研究で、治療に必要な細胞数が検討されるとともに、ワクチンとIL-2の投与が必要ないことが明らかとなり、遺伝子改変T細胞の養子移植をベースにした免疫療法の改善が期待される。
  • 入江
  • 遠藤
  • 矢津田
  • 林田
  • 木庭
11月19日(金)
  • 担当者:高松 孝太郎
  • 論文:IFN-γ promotes complement expression and attenuates amyloid plaque deposition in amyloid βprecursor protein transgenic mice.
    The Journal of Immunology 184: 5333-5343, 2010(May)
  • 要約:アミロイドβ(Aβ)プラーク周囲の反応性グリオーシスは、アルツハイマー病初期のおける特徴的な病理所見であり、自然免疫の活性化によるAβの排除や中和の試みの結果と考えられている。これまでの知見からは、慢性的な神経細胞の炎症がAβ蓄積に及ぼす影響に関しては一定の見解が得られていない。本論文ではIFN-γによる炎症がAβに及ぼす影響を、アミロイド・プリカーサー・プロテイン(APP)トランスジェニックマウス(APPTgCRND8)脳内に、リコンビナント・アデノ随伴ウイルスserotype1を用いてmurineIFN-γを発現させることにより検討した。APPTgCRND8マウス脳におけるm-IFN-γ発現は、非細胞性で自律的なミクログリアおよびアストロサイト活性化を引き起こし、Aβの蓄積を著しく抑制した。これらのマウスにおいてm-IFN-γ発現は、グリア活性化マーカーおよび補体カスケードの初期因子を増加させるとともに、Ly-6c陽性末梢血球単核球の脳実質内への浸潤を促進したが、APP量、APP代謝、定常期Aβ量には影響を及ぼさなかった。これらの結果から、m-IFNγ発現が、グリア細胞および自然免疫因子の活性化による相乗効果により、Aβ貧食を促進しAβ蓄積を抑制することが示唆された。
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
  • 羽賀
11月12日(金)
  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:Toll-like receptor 2 signaling in CD4+ T lymphocytes T helper 17 resposes and regulates the pathogenetics of autoimmune disease.
    Immunity 32: 692-702, 2010(May)
  • 要約:Toll-like receptors (TLRs)は、自然免疫の活性化に重要な役割を果たしているが、今回の論文で著者らは、Th17細胞に発現するTLR2が自己免疫疾患発症に与える影響について検討を行っている。その結果、in vitro で、Naive T細胞からTh17細胞への分化誘導時に、TLR2のアゴニストであるPam3Cysを加えた場合、分化の促進やより強い細胞増殖が確認された。また、in vivo においても、Rag1-/-mice にWTもしくはTLR2-/-mice由来のCD4+T細胞を移入しEAEを誘導した場合、TLR2-/-mice由来のCD4+T細胞を移入した群では、EAEの症状が軽減しCNSに浸潤するTh17細胞数が減少していた。これらの結果から、TLR2がTh17細胞の増殖を促進し、自己免疫疾患の病態形成に関与していることが明らかとなった。
  • 林田
  • 塚本
  • 木庭
  • 遠藤
  • 矢津田
11月5日(金)
  • 担当者:矢津田 旬二
  • 論文:Transgenic mice with a diverse human T cell antigen receptor repertoire.
    Nature Medicine 16: 1029-1034, 2010(Sep.)
  • 要約:免疫寛容が存在するために、腫瘍抗原を含む自己抗原に対して高いアビディティを示すT細胞のT細胞受容体(TCR)の同定は難しい。マウスでは、免疫非寛容なT細胞のレパートリーから、非自己であるヒト抗原に特異的なTCRを同定することができる。さらに、ヒトTCRレパートリーを発現するようなマウスを樹立すれば、ヒト自己抗原に対する偏向のないレパートリーの解析に利用できる。本研究ではヒトTCRαβ遺伝子座位全体(1.1および0.7Mb)をもつトランスジェニックマウスが樹立された。およびこのマウスのT細胞は、多様なヒトTCRレパートリーを発現し、マウスTCRの欠損を補完していた。ヒト主要組織適合性クラスI 遺伝子を導入すると、ヒトTCRを発現するCD8+T細胞の方がマウスTCRを発現する細胞よりも産生数が増えていた。数種類のヒト腫瘍抗原に対して反応するCD8+T細胞が誘導され、メランAメラノーマ抗原に対するCD8+T細胞は、自己免疫性(尋常性)白班もしくはメラノーマ患者由来のT細胞クローンでみられるT細胞のものと類似したTCRが利用されていた。これらのマウスを利用することによって、病原性ヒトTCRや治療用ヒトTCRの同定が可能になると考えられる。
  • 冨田
  • 羽賀
  • 池田
  • 高松
10月22日(金)
  • 担当者:頼仲 玉珍
  • 論文:
  • 要約:
  • 入江
  • 遠藤
  • 矢津田
  • 頼仲
  • 林田
  • 木庭
10月15日(金)
  • 担当者:遠藤 祐子(この日は、Progress Report から始めます)
  • 論文:Hypoxia-inducible factor 2α regulates macrophage function in mouse models of acute and tumor inflammation.
    The Journal of Clinical Investigation 120: 2699-2714, 2010(Aug.)
  • 要約:HIF-1α(Hypoxia-inducible factor 1α)とHIF-2αには共通する働きと独自の働きがあるが、明確な役割は完全に解明されていない。低酸素下のマクロファージにはHIF-1αとHIF-2αの両方が蓄積し、またTAMsでのHIF-2αの過剰発現は、ヒトにおいて腫瘍の予後悪化と相関するという報告がある。著者らは、急性炎症や腫瘍におけるマクロファージでのHIF-2αの役割、またそのメカニズムを明らかにするために、骨髄系細胞特異的にHIF-2αを欠損させたマウス(Hif2α△/△mice)を作製した。HIF-2αはBMDMsの炎症性サイトカインやケモカインの発現を直接調節していた。Hif2α△/△miceはHCCモデルやCACモデルでTAM浸潤が減少し、腫瘍細胞の増殖を弱めた。また、M-CSFRやCXCR4の発現を調節することによって、Hif2α△/△miceBMDMsの移動、浸潤は抑制された。これらの結果から、自然免疫での重要な調節因子としてのHIF-2αの役割が明らかにされ、炎症や癌での治療において重要な因子である可能性が示唆された。
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
  • 羽賀
10月8日(金)
  • 担当者:羽賀 栄理子
  • 論文:Targeting MHC Class I monomers to dendritic cells inhibits the indirect pathway of allorecognition and the production of IgG alloantibodies leading to long-term allograft survival.
    The Journal of Immunology 184: 1757-1764, 2010(Jan.)
  • 要約:T細胞を減少させることは、急性拒絶の治療において有効な方法であり、トレランスの誘導に必要不可欠である。しかし、T細胞の減少により免疫不全を引き起こすこともあり、また、選択的にアロ反応性T細胞を減少させることは非常に困難である。著者らは、静止した樹状細胞の完全なMHC分子を標的とし、選択的にアロ反応性T細胞を減少できるモデルを開発した。Conventional DCの発現するDCIR2(DC inhibitory receptor-2)に対する抗体である、33D1抗体に、KdペプチドおよびKdモノマーを共役させた抗体を作製した。Ab拘束性Kdペプチドを特異的認識するTCR(TCR75)transgenicマウスのT細胞の養子移植実験で、Kdペプチド共役33D1抗体によりアロ抗原特異的T細胞のdelectionが誘導された。また、Kdペプチド共役33D1抗体は、Kdに対するIgGアロ抗体の産生を抑制し、アロ反応を抑制した。抗CD8抗体およびβ2ミクログロブリン欠損マウスを用いた移植実験で、CD8+細胞によるアロ反応性の抑制およびKdmonomer共役33D1抗体の併用により、皮膚移植片の定着が延長した。この方法は、mon-sensitize患者へのトレランス誘導法の発展に於いて有用なツールとなるだろう。
  • 林田
  • 粟井
  • 木庭
  • 頼仲
  • 遠藤
  • 矢津田