日程

Journal Club

Progress report

(8:30〜9:30)

(9:30〜12:30)

2009年(平成21年)

Group-1

Group-2
6月26日(金)
  • 担当者:高松 孝太郎
  • 論文:C-C chemokine receptor 6-regulated entry of TH-17 cells into the CNS through the choroid plexus is required for the initiation of EAE.
    Nature Immunology 10: 514-523, 2009(May.)
  • 要約:多発性硬化症の動物モデルであるexperimental autoimmune encephalomyelitis(EAE)の発症には、IL-17産生T細胞(TH-17細胞)が関与すると考えられているが、その中枢神経系への移行経路ならびに分子機構は不明である。著者らはCCR6KOマウスにおいてEAEを誘導した際に、末梢でのTH-17細胞への分化は認めたが、T細胞の中枢神経系への浸潤を認めず、EAEをほとんど発症しないことを確認した。このCCR6KOマウスはCCR6+T細胞を移植することによりEAEを発症したが、EAEピーク時に中枢神経系に浸潤していたT細胞はCCR6T細胞が主であった。このため症状出現前から中枢神経系に浸潤しているT細胞のサブセットを検討したところ、初期には大半がCCR6+TH-17細胞であったが、次第にCCR6TH-17細胞の割合が増加した。CCR6のリガンドであるCCL20はマウス脈絡叢上皮細胞に発現しており、EAEが早期のCCR6に 依存した脈絡叢からのTH-17細胞浸潤 、および後期のCCR6に依存しない脳血管からの炎症細胞浸潤の2段階により起こることが推察された。ヒトでもCCL20 は脈絡叢に強く発現していた。多発性硬化症の初回発作時髄液中のCCR6+CD25CD4+T細胞の割合は、末梢血と比較すると著明高値を示し、多発性硬化症脳実質炎症部位にCD3+CCR6+T細胞、その近くにCCL20を発現したアストロサイトを認めた。これらのことからCCR6-CCL20系が多発性硬化症の発症、さらには中枢神経系における免疫学的監視機構に関与していることが示唆された。
  • 入江
  • 頼仲
  • 遠藤
  • 井上
  • 林田
6月19日(金)
  • 担当者:頼仲 玉珍
  • 論文:
  • 要約:
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
6月12日(金)
  • 担当者:入江 厚
  • 論文:
  • 要約:
  • 井上
  • 林田
6月5日(金)
  • 担当者:
  • 論文:
  • 要約:
  • 冨田
  • 林田み
  • 池田
  • 春田
  • 高松
5月29日(金)
  • 報告会
  • 入江
  • 頼仲
  • 井上
  • 林田
5月22日(金)
  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:Toll-like receptor 2-dependent induction of vitamin A-metabolizing enzymes in dendritic cells promotes T regulatory responses and inhibits autoimmunity.
    Nature Medicine 15:401-409, 2009(Apr.)
  • 要約:酵母の細胞壁由来のZymosanは、TLR2とdectin-1のリガンドとして、主に働くことが知られている。著者らは、Zymosanによって刺激されたSplenic DCで、TLR2を介して刺激を受けた場合、レチナールからレチノイン酸への代謝を触媒するRetinaldehyde dehydrogenase type2 (RALDH2)とIL-10の発現が誘導されることを示している。その結果、Splenic DCでは、レチノイン酸が、自身のSuppressor of cytokine signaling-3 (Socs3)の発現を誘導し、p38 mitogen-activated protein kinase (MAPK)の活性化や炎症性サイトカインの産生を抑制していた。さらにこのDCは、Tregを誘導することより、EAEの抑制が認められた。一方で、dectin-1を介してDCを刺激した場合、Tregは誘導されず、Th1やTh17の誘導によるEAEの増悪が認められた。これらの結果から、Splenic DCにおいて、TLR2を介したレチノイン酸の誘導が、自己免疫疾患の抑制に対し、重要であることが示された。
  • 頼仲
  • 池田
  • 春田
5月15日(金)
  • 担当者:入江 厚
  • 論文:Germline-encoded amino acids in the ab T-cellreceptor control thymic selection.
    Nature 458: 1043-1046, 2009 (Apr.)
  • 要約:αβT細胞の応答は、その抗原受容体(TCR)による抗原と主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質の認識によって起こる。末梢ααβT細胞がMHCを認識するようになるのは、胸腺で、自身のMHCを認識する胸腺細胞だけが選択されて生き残ることが少なくとも理由の1つであろう。この過程によって、完全に無作為で偏りのない特異性をもつレパートリーの中から、MHCに反応するTCRを選択できる。しかし、正の選択前の胸腺細胞の解析から、TCRタンパク質はあらかじめMHCに結合する能力を持っている可能性が示唆されている。本論文では、germline TCR遺伝子にコードされる特定のアミノ酸が、TCRによる「普遍的な」MHC認識を助長し、胸腺での選択を制御することを示す。単一の、再構成されたTCRβ鎖を発現するマウスを用いて、相補性決定領域(CDR)2βのアミノ酸をAlaに置換すると、TCRレパートリーが減少した。以上より、germlineにコードされるαβTCRのMHCと接するアミノ酸残基が、胸腺での選択を制御し、また、末梢T細胞のレパートリーの多様性はこの「固有の」MHC特異性によって高められることを示している。
  • 頼仲
  • 池田
  • 春田
5月1日(金)
  • 担当者:林田 裕希
  • 論文:Carcinoma-produced factors activate myeloid cells through TLR2 to stimulate metastasis.
    Nature 457: 102-6, 2009 (Jan.)
  • 要約:転移の進行は、がん細胞に特有の遺伝的な変化だけでなく、進行した腫瘍が作り出す炎症性微小環境にも依存する。がん細胞がどのように炎症性微小環境に影響を与えるかを解明するために、生化学的なスクリーニングにより、転移性のがん腫から分泌されるマクロファージ活性化因子を探索した。本論文では、スクリーニングを行った細胞株中では、ルイス肺がん(LLC)が最も強力にマクロファージを活性化し、Toll様受容体(TLR)ファミリーに属するTLR2およびTLR6の活性化を介して、IL-6やTNF-αの産生を引き起こすことを示す。LLCの転移には、TNF-αとTLR2の両方が必要であることがわかった。LLC培養上清(LCM)を生化学的に精製することにより、TLR2やその共受容体であるTLR6およびCD14を介して作用するマクロファージ活性化因子として、細胞外マトリックスのプロテオグリカンであるバーシカンversicanを発見した。バーシカンは、肺がんを含む多くのヒト腫瘍で発現が上昇していることが報告されている。バーシカンは、骨髄細胞のTLR2:TLR6複合体を活性化し、TNF-αの分泌を誘導することによって、強力にLLCの転移増殖を推し進める。これらの結果は、進行した癌の細胞がどのように宿主の自然免疫系の構成要素(骨髄由来の骨髄系前駆細胞など)を障害し、転移成長に適した炎症性微小環境を作り出すのかを説明するものである。
  • 入江
  • 井上
  • 林田
4月24日(金)
  • 担当者:井上 光弘
  • 論文:Self-antigen-specific CD8+ T cell precursor freauency determines the quality of the antitumor immune response.
    Rizzuto, G.A. et al.
    J. Exp. Med. 206: 849-866, 2009(Apr.)
  • 要約:癌免疫療法の第一の目標は、腫瘍に対する、自然発生的な免疫応答の増強を図ることである。著者らは、抗腫瘍免疫応答の強度を規定する一因は、自己抗原特異的なCD8陽性T細胞のプレカーサーの数であると予測し、自己抗原に特異的な内因性のCD8陽性T細胞の頻度を求め、異なるプレカーサー頻度での免疫応答の強度を比較した。著者らは、致死量の放射線照射後のマウスに3 x 107個のナイーブCD8 T 細胞を養子移入し、in vivoにて免疫を行うことで、プレカーサー頻度を同定する試みを行った。まずマウスのgp10025-33ペプチド特異的なCD8 T細胞の頻度を10-6以下と予測した。 通常これらの頻度では、プラスミドDNAによるワクチンでは効果的な免疫反応を惹起することはできないが、この実験系にgp10025-33ペプチド特異的なTCRトランスジェニックマウス由来のCD8細胞を加えていくと、ワクチンによる免疫応答が増強した。しかし抗原特異的なT 細胞の数を増やしていくとある時点で競合し、効果が減弱する。 このことは、抗原特異的なプレカーサーの頻度が腫瘍に対する免疫反応に重大な影響を与えることを示している。著者らは、この競合的な閾値以下のレベルのプレカーサー頻度でプライミングすることにより、より高い増殖能を示し、多機能性を獲得し、より効果的に腫瘍を除去できることを示した。腫瘍特異的ナイーブT 細胞の移植数をプレカーサー頻度によって最適化し、その後にin vivoで活性化することは新しい試みであるが、そのためには腫瘍抗原特異的なCD8陽性T細胞のプレカーサー頻度の多様性の究明が求められる。
  • 千住
  • 池田
  • 春田
  • 冨田
4月17日(金)
  • 担当者:真崎 雄一
  • 論文:Regulation of the IL-23 and IL-12 Balance by Stat3 Signaling in the Tumor Microenvironment.
    Kortylewski, M. et al.
    Cancer Cell 15: 114-123, 2009(Feb.)
  • 要約:がんの進行には、腫瘍と免疫細胞との相互作用が深く関与している。本論文で、著者らは、腫瘍の周囲に集まってくる免疫細胞でStat3が活性化されると、抗腫瘍免疫が抑制される方向へ向かうと報告している。Stat3は、シグナル伝達と転写因子の2つの機能を持つ分子で、腫瘍の周囲に集まってくるマクロファージでは、IL-23/p19遺伝子の転写活性に直接働き、IL-23の発現を促していた。一方、Stat3は、腫瘍の周囲に集まってくる樹状細胞でも働き、NF-kB/c-Ral依存性のIL-12/p35遺伝子の発現を抑えていた。さらに、マクロファージによって放出されたIL-23は、腫瘍の周囲に集まってくるregulatory T cell (Treg) に作用し、Treg特異的な転写因子Foxp3と免疫抑制性のサイトカインIL-10の発現を促していた。これらの結果は、Stat3が、IL-23を介して、腫瘍形成を促進させるような免疫反応を促している一方で、IL-12依存的で腫瘍に対して抑制的に働く免疫反応を抑えていることを示すものである。
  • 入江
  • 池田
  • 春田
4月10日(金)
  • 担当者:冨田 雄介
  • 論文: Cancer metastasis is accelerated through immunosuppression during snail-induced EMT of cancer cells.
    Chie Kudo-Saito, et al.
    Cancer cell 15:195-206, 2009 (Mar.)
  • 要約:Epithelial-Mesenchymal Transiton (EMT; 上皮間葉移行)EMTは、癌の転移において重要なステップである。著者らは転写因子の一つであるSnailによって誘導されるEMTは、腫瘍の浸潤性を増強させて癌転移を促進するだけでなく、免疫抑制も誘導することにより転移を促進していることを示した。Snailを遺伝子導入したマウスとヒトのメラノーマ細胞は典型的なEMTの特徴を有しており、その細胞はin vitro とin vivoで制御性T細胞を誘導し、樹状細胞を減少させた。またその機構の一部はTSP-1の産生によるものであった。Snail陽性のメラノーマは免疫療法に抵抗性であったが、Snail特異的siRNA、もしくは抗TSP-1モノクローナル抗体を腫瘍内へ注入することにより、腫瘍特異的リンパ球の増加と全身性の免疫応答が誘導され、腫瘍の増殖・転移は抑制された。これらの結果はSnailにより誘導されるEMTを抑制することにより、癌患者における腫瘍の転移と免疫抑制の両方を抑制することができる可能性を示唆するものである。
  • 冨田
  • 頼仲