日程
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Journal Club
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Progress report
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(8:30〜9:30)
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(9:30〜12:30)
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2007年(平成19年)
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Group-1
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Group-2
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6月29日(金)
全体 Meeting
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- 担当者:今井 克憲
- 論文:Altering the distribution
of Foxp3+
regulatory T cells results in tissue-specific
inflammatory disease.
Blythe D. Sather et al.
J. Exp. Med. 204(6): 1335-1347, 2007(June
11)
- 要約:末梢性トレランスにおける制御性T細胞(Treg)の重要性は論を待たないが、in
vivoにおけるTregの各組織への遊走、集積については、いまだよくわかっていない。本論文において著者らは、炎症のない状態においても、定常的にTregがほとんど全ての組織に分布しており、特に皮膚においてはそのほとんどがCCR4+ CD103highを示している事を示した。Tregのこれらのhoming
receptorの発現は、皮下リンパ節で抗原提示を受けることによって誘導された。加えて、CCR4-/-マウスとFoxp3を欠損したscurfyマウスのmixed
BM
キメラマウスを用いた実験により、CCR4を欠損したTregは、CD4+CD25-Tcellの増殖を抑制する機能は正常であるが、自身の皮膚や肺への遊走、集積が抑制され、臓器特異的な自己免疫病が誘導された。以上より、Tregは外来抗原にさらされる皮膚や肺(気道)等のいわゆるバリヤー組織に選択的・恒常的に存在しており、その局在にはhoming
receptorであるCCR4の発現の獲得が必須であることが示された。
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6月22日(金)
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- 担当者:福島 聡
- 論文:T Cell-Produced
Transforming Growth Factor-β1 Controls T Cell Tolerance
and Regulates Th1- and Th17-Cell Differentiation.
Ming O. Li et al.
Immunity
26: 579-591, 2007(May 25)
- 要約:TGF-β1は免疫反応において多面的な役割をもつサイトカインで、白血球や間質細胞に広く発現している。しかし個々の細胞が発現するTGF-β1の生体内での機能は未解明である。本論文ではT細胞特異的に/tgfb1/遺伝子を欠失させたマウスを用い、T細胞が産生するTGF-β1がTh1や
Th17の分化に関わり、炎症性疾患の制御に重要であることを示した。
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6月8日(金)
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- 担当者:原尾 美智子
- 論文:Breast cancer instructs
dendritic cell to prime interleukin 13-secreting
CD4+ T
cells that facilitate tumor development.
Caroline Aspord et al.
J. Exp. Med. 204(5): 1037-1047, 2007(May
14)
- 要約:著者らは先行論文において、ヒト乳癌の腫瘍組織には成熟した樹状細胞とCD4+T細胞がクラスターを作って浸潤していることを報告をしている。(JEM
190:
1417-,1999)本論文では、ヒト乳癌組織に浸潤しているCD4+T細胞は、type
2サイトカイン(IL-4、IL-13)とtype1サイトカイン(IFNγ)を大量に分泌し、蛍光免疫染色では組織中の乳癌細胞でIL-13が強染することを示した。乳癌組織ではSTAT6が発現していることより、IL-13がシグナルを伝達していると考えられた。乳癌、DC、CD4+T細胞との関連性を調べるために、乳癌細胞株、CD34+血液前駆細胞、自己のT細胞をNOD-SCID-β2m欠損マウスに移植したところ、CD4+T細胞が腫瘍の増殖を促進し、またIL-13
アンタゴニストの投与によりDC依存性に腫瘍の増殖が抑制された。
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6月1日(金)
全体 Meeting
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- 担当者:横峰 和典
- 論文:Dendritic Cells Prime
Natural Killer Cells by trans-Presenting Interleukin
15
Mathias Lucas et al.
Immunity 26: 503-517,
2007(Apr.)
- 要約:NK細胞は感染細胞や腫瘍細胞を早期に攻撃する細胞であるが、in
vivoにおいてNK細胞が活性化されるために必要な細胞や分子についてはよくわかっていない。本論文では樹状細胞のみを消失させることができる特殊なマウスモデルを用いることにより、in
vivoにおけるNK細胞のウイルスや細菌に対するプライミングにはCD11chigh樹状細胞が必要であることを示している。末梢でのtoll
like
receptorの刺激後、NK細胞は局所リンパ節に移動し、樹状細胞と結合することによってエフェクターNK細胞となる。NK細胞のプライミングは樹状細胞によるI型INFのシグナルとその後のIL-15が必要であり、CD11chigh樹状細胞が産生するIL-15はNK細胞のプライミングにとって必要十分な要素である。これらの事実は、獲得免疫系におけるT細胞のプライミング時と同様に、in
vivoでのNK細胞のプライミングにおける樹状細胞の役割を明らかにしたものである。
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5月18日(金)
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- 担当者:松永 雄亮
- 論文:Asymmetric T lymphocyte
division in the initiation of adaptive immune
responses.
Chang JT et al.
Science 315(5819): 1687-1691, 2007(March
23)
- 要約:適応免疫応答ではナイーブリンパ球がクローン増殖、分化という過程を経て、抗原特異的なエフェクター細胞になり病原体を除去する。また、メモリー細胞を介して長期持続的な防御免疫状態を作り出す。しかしながら、エフェクター細胞とメモリー細胞がどのように分岐するかということは明らかになっていない。本論文では、感染応答時に抗原提示細胞とT細胞の相互作用が生じるとT細胞が非対称性に細胞分裂することが示された。更に、この非対称性細胞分裂によって生じた二つの娘細胞はエフェクター細胞とメモリー細胞という異なる細胞系譜に分岐していることが、表現型マーカーと機能の解析により明らかとなった。以上より、病原体に感作されたT細胞は初期に非対称に分裂することでエフェクターとメモリーという異なる細胞運命を同時に獲得している可能性が示された。
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5月11日(金)
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- 担当者:千住 覚
- 論文:Viral antigen and
extensive division maintain virus-specific CD8 T cells
during chronic infection
Haina Shin et al.
J. Exp.
Med.
204(4): 941-949,
2007(Apr.)
- 要約:CD8陽性のメモリーT細胞の維持は、感染症に対する生体防御にとって必須である。急性(一過性)のウイルス感染症やワクチン接種等に伴う抗原暴露により誘導されたCD8陽性のメモリーT細胞は、その後、抗原の非存在下で長期間にわたり維持される。このような抗原刺激非依存性のメモリーT細胞は、IL-7やIL-15に依存し、かつ、定常的でゆっくりとしたT細胞の自己複製(self-renewal)によって維持されていると考えられる。一方、慢性のウイルス感染症の場合には、抗原が体内に存在し続ける状態で特異的なメモリーT細胞が維持されている。このような、慢性感染性の微生物抗原に対するメモリーT細胞は、長期間にわたってその数が一定に保たれているという点では前述した抗原刺激非依存性のメモリーT細胞と同様であるが、その維持機構には違いがある。この論文では、LCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス感染)に感染したマウスをモデルとした実験により、慢性感染性の微生物抗原に対するメモリーT細胞が、1)その増殖に、IL-7やIL-15を必要としない 2)その維持に、特異的な抗原刺激を必要とする 3)比較的急速な増殖をする という特徴を有することが示されている。
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4月27日(金)
全体 Meeting
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- 担当者:頼仲 玉珍
- 論文:Antiviral CD4+ memory T
cells are IL-15 dependent
Jared F. Purton et al.
J. Exp. Med. 204: 951-961,
2007(Apr.)
- 要約:メモリーCD4+T細胞とメモリーCD8+T細胞の生存・増殖は、それぞれ異なる仕組みで制御されるといわれている。例えば、IL-15はメモリーCD8+T細胞には決定的な影響をおよぼすのに対して、メモリーCD4+T細胞には効果がない。しかしこれまでの多くは、抗原特異的なメモリーCD4+
細胞の代わりに、メモリー細胞に特徴的な表現型(MP)を持つ細胞を代用して研究されてきた。著者らは、抗原特異的なメモリーCD4+T細胞は、MHC-II非特異的にゆっくり増殖するのに対して、MP
CD4+
細胞の多くは、MHC-II特異的に急速に増殖するという違いがあることを見出した。そこで、抗原特異的なメモリーCD4+
細胞を、X線照射してリンパ球が減少したマウスに移入すると、IL-15に関係なく、上昇したIL-7レベルに応じて増殖したのに対して、通常のIL-7レベルの低いマウスに移入すると、もっぱらIL-15に依存して増殖した。この内因性IL-15に依存したメモリーCD4+ 細胞の増殖応答は、CD8+
細胞やNK細胞と競合するので、これらの細胞を取り除くと、メモリーCD4+
細胞の増殖は増強した。以上より、通常の生理条件下では、CD8+、CD4+メモリーT細胞の生存・増殖の機構はよく似ており、どちらもIL-15とIL-7に依存することが明らかとなった。
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4月20日(金)
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- 担当者:入江 厚
- 論文:Alloreactive T cells
respond specifically to multiple distinct peptide-MHC
complexes
Nathan J Felix. et al.
Nature Immunology 8: 388
- 397, 2007 (Apr.)
- 要約:アロ主要組織適合性抗原-ペプチド複合体に対するT細胞応答の特異性を、分子レベルで説明するのは困難であった。著者らは、本研究で60種類のI-Ekアロ反応性T細胞クローンと83種類の自然にプロセスされるペプチドのスクリーニングを行ない、反応性を示す9種類のT細胞クローンを同定した。そのうちの3種類のT細胞は、全く共通性のない、複数の異なるペプチドに反応した。これらのT細胞は、反応したいずれのペプチド-主要組織適合性抗原複合体をも特異的に認識するが、I-Ekと接触するアミノ酸残基の組み合わせは、どれも異なっていた。著者らの研究は、アロ反応性T細胞のTCRには、分子レベルで複数の異なるリガンドを認識するような能力が備わっており、アロ反応性はTCRの認識の甘さにより生ずるものではないことを示した。著者らの発見は、アロ反応性T細胞がなぜ高頻度に存在するのかをうまく説明することができ、T細胞の特異性の本質を考えるヒントを与えるものである。
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4月13日(金)
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- 担当者:平田 真哉
- 論文:Myelin-specific
regulatory T cells accumulate in the CNS but fail to
control autoimmune inflammation.
Korn, T. et al.
Nature Medicine 2007 (March 25, on
line)
- 要約:近年、免疫抑制能を有したCD4+CD25+foxp3+制御性T細胞(Treg細胞)の発見に伴い、自己免疫疾患やアレルギーの治療への応用が盛んに研究されている。しかし、実際には、自己免疫疾患におけるTreg細胞の動態や機能はよく分かっていない。そこで、著者らはFoxp3とGFPを連鎖した遺伝子をknock
inしたマウス(C57BL/6)を作製して、ヒトの多発性硬化症のモデルと考えられている実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)におけるTreg細胞とeffector
T細胞の動態と機能を調べた。その結果、MOGペプチドで誘導されたEAEの発症に伴って、MHCクラスII(I-Ab)テトラマー/MOGペプチドを認識するFoxp3/GFP+のTreg細胞が末梢のリンパ組織で増殖しており、さらに炎症が起きている中枢神経系(CNS)に、このTreg細胞が集積していることがわかった。しかし、CNSに集積したTreg細胞は、炎症局所のIL-6とTNFにより、その抑制機能を失っており、EAEの発症をコントロール出来ていなかった。これらの現象は、自己免疫疾患などの治療にTreg細胞の応用を考える場合、先ず組織の炎症をコントロールする必要がある可能性を示唆している。今回のJCでは、この論文をはじめ、これまでの概念とやや異なったTreg細胞の最近の知見を紹介したい。
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4月6日(金)
全体 Meeting
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- 担当者:今井 克憲
- 論文:Selection of
Foxp3+
regulatory T cells specific for self antigen expressed
and presented by Aire+
medullary thymic epithelial cells.
Nature Immunology 8: 351 - 358, 2007
(Feb.)
- 要約:本論文では、胸腺髄質上皮細胞に発現し、中枢性トレランスにおける負の選択において重要な役割を果たすAIRE(Autoimmune
regulator)が、末梢性トレランスの中核を担うFoxp3+
regulatory T
cell(Treg)の分化に関与している事が示された。著者らはAIREのプロモーター下にHA遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製し、これをHAを認識するTCRを遺伝子導入したトランスジェニックマウスと交配したダブルトランスジェニックマウスを作製した。このマウスではCD4+25+Foxp3+
Tregの増加を認め、in
vitroでHA特異的な増殖抑制効果を示した。また、骨髄キメラを用いて、胸腺における抗原特異的なTregの分化には、DCではなく、mTECによる抗原提示が重要である事が示された。加えて、HAを発現しているAIRE+
mTECは、十分量のMHC
classIIを発現しており、胸腺のDCよりも効果的にHA特異的T細胞を活性化した。以上より、AIREはnegative
selectionによるrecessive
toleranceのみでなく、抗原特異的なTregの分化誘導というdominant
toleranceにも、重要な役割を果たしている事が示された。
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