日程
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Journal Club
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Progress report
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(8:30〜9:30)
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(9:30〜12:30)
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2006年(平成18年)
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Group-1
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Group-2
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12月22日(金)
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- 担当者:福島 聡
- 論文:A role for the
endoplasmic reticulum protein retrotranslocation
machinery during crosspresentation by dendritic
cells.
Ackerman AL. et. al.
Immunity.
25(4): 607-17, 2006(Oct.)
- 要約:樹状細胞がCD8+T細胞に対して行う外来抗原の交差提示では抗原が細胞質に入ることが必要と考えられている。本論文では貪食された外来抗原が小胞体関連分解(ERAD)を利用する分子機構を経由してファゴソームから細胞質に到達することを示した。
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12月15日(金)
10:30〜
全体 Meeting
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休み
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12月1日(金)
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- 担当者:原尾 美智子
- 論文:Triggering CD40 on
endothelial cells contributes to tumor growth.
Claudia Chiodoni. et. al.
J. Exp. Med 203(11): 2441-2450, 2006(Oct. 30)
- 要約:本論文では免疫応答に重要な役割を担っているCD40分子の、BALB/NeuTトランスジェニックマウスにおける乳癌の発生に及ぼす影響が検討された。CD40
KOかつHER2/neu遺伝子が導入されたCD40-KO/NeuTマウスでは乳癌の発生が遅延し、腫瘍の多様性が減少していた。このマウスにWT(CD40+)マウスの骨髄細胞を移植しても、癌抑制状態に変化は認められなかった。BALB/NeuTの腫瘍周囲血管は大きくよく発達していたが、一方CD40-KO/NeuTでは腫瘍血管の発達が悪かった。CD40Lを発現する活性型血小板が腫瘍血管内皮を活性化する可能性を考え、抗血小板薬でありCD40Lの発現を抑制するclopidorelをBALB/NeuTとCD40-KO/NeuTに長期投与したところ、BALB/NeuTではCD40-KO/NeuTと同様に腫瘍増殖が抑制され、またCD40-KO/NeuTでは投与の有無にかかわらず腫瘍の増大は抑制されていた。これらのデータからBALB/NeuTの乳癌の発生において、血小板に発現するCD40Lと血管内皮のCD40の相互作用により、腫瘍血管新生が誘導され腫瘍増殖が促進される可能性が示唆された。
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11月24日(金)
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- 担当者:横峰 和典
- 論文:Phosphodiesterase-5
inhibition augments endogenous antitumor immunity by
reducing myeloid-derived suppressor cell function
Paolo Serafini. et. al.
J. Exp. Med 2006 (Nov. 13, on
line)
- 要約:本論文ではPhosphodiesterase-5(PDE-5)阻害剤の抗腫瘍効果についてマウスを用いて検討された。その結果、PDE-5阻害剤には腫瘍により形成される免疫抑制状態を回復させ、腫瘍の増殖を抑制することが明らかとなった。特にPDE阻害剤の1つであるsildenafil
(Viagra)には、arginase-1やnitric oxide
synthase-2の発現を抑える働きがあり、腫瘍組織に集積するCD11b+/Gr-1+ミエロイド細胞の免疫抑制機能を減弱させることが明らかとなった。Sildenafilはその作用によってT細胞の腫瘍内への浸潤と活性化を増強し、腫瘍の増殖を抑制して、T細胞の養子免疫の効果を改善させることも明らかとなった。さらに、Sildenafilは多発性骨髄腫や頭頸部癌患者のリンパ球の増殖能を、in
vitroで回復させた。これらよりPDE-5阻害剤は、抗腫瘍免疫療法を増強する薬剤である可能性が示唆された。
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11月17日(金)
全体 Meeting
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- 担当者:松永 雄亮
- 論文:Induction of pluripotent
stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast
cultures by defined factors.
K. Takahashi, S. and Yamanaka
Cell 126(4): 663-76, 2006(Aug.
25)
- 要約:卵母細胞への体細胞の核移植あるいは体細胞とES細胞の融合により、分化した細胞が未分化な状態に再プログラミングされることが報告されている。しかしながら、再プログラミングを誘導する因子や機構については、ほとんど分かっていない。本論文では、Oct3/4,
Sox2, c-Myc,
Klf4の4種の因子をマウスの胎児性、成体性繊維芽細胞に導入することにより、多能性幹細胞を誘導できることが示された。この多能性幹細胞(iPS
cell: induced pluripotent stem
cell)はES細胞様の形態と増殖性を示し、ES細胞マーカー遺伝子を発現していた。ヌードマウスにiPS細胞を皮下移植すると、三胚葉由来の様々な組織を含む奇形腫が形成された。さらに、胚盤胞に注入したiPS細胞はマウス胚の成長に寄与していた。これらの知見は、数種の再プログラミング因子を用いることにより、卵子や胚を使うことなし、体細胞から多能性幹細胞を直接誘導できることを示している。
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11月10日(金)
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- 担当者:頼仲 玉珍
- 論文:Cancer regression in
patients after transfer of genetically engineered
lymphocytes.
Richard A. Morgan et al.
Science 314: 126-129, 2006 (Oct.
6)
Perspectives: Cancer immunotherapy is more than a numbers
game.
Rienk Offringa
Science 314: 68-69, 2006 (Oct.
6)
- 要約:体内のリンパ球を減少させた悪性黒色腫患者に癌特異的CTLを養子免疫することにより、転移性悪性黒色腫の退縮を誘導できる。しかし、この免疫療法による腫瘍特異性T細胞の増殖には限界がある。本論文は、癌特異抗原を認識するヒトCTL由来のTCRをコードするレトロウイルスを用いて、末梢血自家リンパ球に腫瘍退縮を誘導する能力を付与できることを報告したものである。15人の患者にTCR遺伝子導入リンパ球を養子免疫したところ、移入後、少なくとも2ヵ月間は、同細胞を末梢血リンパ球の10%以上のレベルに維持できた。さらに2人の患者では、TCR遺伝子導入リンパ球が移入後1年を経ても体内を循環し、さらに転移性悪性黒色腫の退縮を認めた。この研究は、TCR遺伝子導入リンパ球が、がん治療に有効であることを示すものである。
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10月27日(金)
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- 担当者:入江 厚
- 論文:Functional
CD8+ but
not CD4+ T
cell responses develop independent of thymic epithelial
MHC.
PNAS
103: 14435-14440,
2006
- 要約:T細胞のレパトアを選択するのに、胸腺以外の上皮細胞のMHCがどのような役割を持つのかについては、議論のあるところである。胸腺上皮細胞(TE)と非胸腺上皮細胞(non-TE)のMHCの、T細胞レパトアの選択における役割を解析するために、著者らは四親性キメラマウス(B6-nude⇔Balb/cとB6⇔Balb/c-nude)を作成した。これらのマウスでは、T・B細胞はどちらの親に由来するものも存在するが、TEは非nudeの親由来のものしかできない。これらのキメラマウスは、TE・non-TEのMHCに拘束されたT細胞の抗ウイルス応答が認められた。non-TEのMHCだけでも、十分なT細胞レパトアが得られるのかどうかをさらに検討するため、著者らは、B6-nude由来の細胞にはMHCが存在するが、TEにMHC-IIのない(B6-nude⇔MHC-II-/-)、あるいはMHC-I・MHC-IIどちらもない(B6-nude⇔MHC-I-/-
II-/-)四親性キメラマウスを作成した。TEにMHCのないキメラマウスでは、ウイルス特異的なCD8+T細胞の応答は認められたが、CD4+T細胞の応答は認められなかった。したがって、CD4+T細胞の分化には、TEのMHC-IIが必要であるが、CD8+T細胞は、TEのMHCがなくても正しく分化すると考えられた。
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10月13日(金)
全体 Meeting
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- 担当者:平田 真哉
- 論文:Mast cells are essential
intermediaries in regulatory T-cell tolerance.
Lu, L. F. et al.
Nature 442: 997-1002,
2006 (Aug.31)
- 要約:近年、免疫抑制性細胞として、CD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞(Regulatory T細胞,
Treg細胞)が注目されている。今回の論文では、ドナー特異的輸血療法と抗CD154阻害抗体の組み合わせ治療により、マウスの同種異型(アロ,
allogenic)の皮膚グラフトが生着する免疫寛容の実験系が用いられている。この生着したアロの皮膚に浸潤した細胞には、Treg細胞のマーカーであるFoxp3の発現やマスト細胞の遺伝子産物群の発現が認められた。さらに、マスト細胞を欠損するマウスでは、ドナー特異的輸血療法と抗CD154阻害抗体の組み合わせ療法を行ってもアログラフトが生着しなかったことから、マスト細胞がこのアログラフトの生着に重要であることが分かった。この現象を詳しく解析したところ、活性化されたTreg細胞がIL-9を産生し、このIL-9が生着した移植組織へのマスト細胞のリクルートメント、活性化に重要であることがわかった。さらに、IL-9の中和抗体の投与は、アログラフトの拒絶を促進した。以上のことから、免疫寛容の誘導におけるTreg細胞とIL-9とマスト細胞の新たな関連の存在が示された。今回のジャーナルクラブでは、この論文を中心に、最近のTreg細胞のトピックについて概説する予定である。
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10月6日(金)
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- 担当者:今井 克憲
- 論文:T Cells with Low Avidity
for a Tissue-Restricted Antigen Routinely Evade Central
and Peripheral Tolerance and Cause Autoimmunity
Dietmar Zehn. at al.
Immunity 25: 261−270,
2006 (August)
- 要約:末梢の自己抗原に対しhigh
avidityを示すTCRを発現するCD8+T
細胞は、中枢性トレランスや末梢性トレランスにより完全に排除されるが、low
avidityを示す自己反応性CD8+T
細胞が約4%末梢に存在する。このlow avidity
CD8+T
細胞は、内因性に発現するレベルの自己抗原に対しては自己免疫反応を示さず、全身性の炎症や自己反応性CD4+T
細胞の存在下でも活性化されず、自己免疫病を誘導しない。しかし、自己抗原を強制的に発現させた微生物(この系ではOVAを発現させたリコンビナントListeria
monocytogeges)を介した高濃度の自己抗原への曝露により、このlow
avidity CD8+T
細胞が活性化され、自己免疫病を惹起した。自己免疫病発症のメカニズムの一つとして、内因性の自己抗原で活性化されうる自己反応性T
細胞は、中枢性及び末梢性トレランスによって完全に排除されるが、残ったlow
avidity
T細胞が交差抗原性を持つ大量の外来抗原に反応して活性化され、自己免疫病を引き起こす可能性が考えられる。
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