日程
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Journal Club
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Progress report
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(8:30〜9:30)
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(9:30〜12:30)
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2006年(平成18年)
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Group-1
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Group-2
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9月15日(金)
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- 担当者:生田 義明
- 論文:CTLA4 blockade and GM-CSF
combination immunotherapy alters the intratumor balance
of effector and regulatory T cells.
Sergio A. Quezada. et al.
J. Clin. Invest. 116:
1935-1945, 2006 (July)
- 要約:CTLA4はT細胞の抑制性分子の一つである。著者らは、C57BL/6マウスへのB16メラノーマ移植実験において、抗CTLA4阻害抗体およびGM-CSF
発現B16腫瘍ワクチン(Gvax)療法の作用機序および効果について検討した。C57/BL6マウスの皮下にB16を移植すると、腫瘍内におけるCD4+Foxp3-T細胞とCD4+Foxp3+T細胞(Treg)の浸潤が見られたが、CD8+T細胞の浸潤はわずかであった。Gvaxによって抗原刺激を受けた腫瘍認識エフェクターT細胞(TE)は活性化され、腫瘍に浸潤し、腫瘍の増殖遅延を引き起こした。さらに、Gvaxと抗CTLA4阻害抗体を併用することにより、TEの腫瘍内浸潤を誘導し、腫瘍内におけるTE/Tregバランスが劇的に変化して、腫瘍拒絶が誘導された。
以上より抗腫瘍免疫を効率よく誘導するためには、TE/Treg比を大きくすることが重要で、Gvaxと抗CTLA4抗体の併用療法により、これが可能となることが示された。
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9月8日(金)
全体 Meeting
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- 担当者:福間 大喜
- 論文:Duration of the initial
TCR stimulus controls the magnitude but not functionality
of the CD8+ T
cell response.
Martin Prlic. et al.
J Exp Med. 2006
(Aug.14, on line)
- 要約:ナイーブCTLは、短時間の抗原刺激により増殖して、Effector細胞やMemory
細胞に分化することが知られているが、この短い刺激によって誘導されるクローン増殖
とMemory
T細胞の機能的な特徴は明らかにされていない。著者らはDCにDiphtheria
toxin(DT)receptor
を遺伝子導入し、DTをマウスに投与することによりin
vivoでDCを特異的に排除して、CTLへの抗原刺激の時間を短縮するシステムを確立した。その結果、ナイーブCTLの抗原刺激時間の短縮はクローン増殖を減弱させるが、Effector機能やmemory
CTLの二次応答能には影響を与えなかった。
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9月1日(金)
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- 担当者:福島 聡
- 論文:Migratory dendritic cells
transfer antigen to a lymph node-resident dendritic cell
population for efficient CTL priming.
Rhys S. Allan. et al.
Immunity 25: 153-162,
2006 (July)
- 要約:皮膚の樹状細胞(DCs)は、局所のT細胞応答の誘導において重要な役割を担っていると考えられている。本論文ではherpes
simplex
virusの皮膚感染モデルを用い、細胞傷害性T細胞の活性化には、皮膚に存在するDCsによる抗原のリンパ節への運搬が重要であることを示した。しかし、その際にMHC
クラス
I拘束性に抗原を提示するのは、皮膚由来のDCsではなく、リンパ節に存在するCD8+のDCsであることを示した。
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8月25日(金)
全体 Meeting
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- 担当者:粟井(塚本)博丈
- 論文:Massive and destructive T
cell response to homeostatic cue in CD24-deficient
lymphopenic hosts.
Li O. et al.
J Exp Med. 203(7):
1713-1720, 2006 (Jul. 10)
- 要約:Homeostatic
proliferationは、放射線照射や加齢に伴う胸腺の退縮、あるいは新生児期において、末梢での減少したT細胞のニッチを補完し、恒常性維持するのに重要である。これまでの研究から、MHC分子、それに加えてCD4陽性T細胞ではIL-7,CD8陽性T細胞ではIL-15がHomeostatic
proliferationを制御する因子として見い出されたが、Homeostatic
proliferationにおける他の細胞、さらにTCR-MHC以外の細胞表面分子相互作用の寄与などについては、未だ明らかではない。Yang
Liuのグループは以前、T細胞上のCD24分子がHomeostatic
proliferationを正に制御することを発表したが、今回、同グループのOu
Liらは、放射線照射したCD24分子を欠損するマウス内に、野生型のT細胞を移入すると、過剰なHomeostatic
proliferationが誘導され、その後、T細胞を移入されたレシピエントが死んでしまうという現象を見い出した。さらに、この過剰なHomeostatic
proliferationは樹状細胞におけるCD24の欠損により誘導されることを発見した。これらのことから、CD24分子はT細胞上では、Homeostatic
proliferationを正に制御する一方で、樹状細胞上では、T細胞のHomeostatic
proliferationの誘導を負に制御するということが示された。この発見は、T細胞のHomeostatic
proliferationの制御における他の免疫担当細胞、副刺激分子の寄与を考える上で重要であると思われる。
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8月18日(金)
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- 担当者:原尾 美智子
- 論文:Targeting
tumor-associated macrophages as a novel strategy against
breast cancer.
J. Clin. Invest. 116:
2132-2141, 2006
- 要約:Tumor-associated
macrophages
(TAMs)は腫瘍の増殖、転移に関連していることが知られているが、この論文ではTAMに高発現するlegumainを新たな腫瘍免疫のターゲット分子として検討した。Legumainはasparaginyl
endopeptidase
familyに属するストレスタンパク質である。LegumainのDNAワクチンがTAM特異的である。CD8陽性T細胞を強力に誘導するとともに、腫瘍組織におけるTAMの減少と、TGF-β、TNFα、MMP9、VEGFなどのproangiogenic
factorの減少を誘導し、さらに腫瘍血管の抑制と腫瘍の増殖、転移を抑制した。この方法は乳癌、大腸癌、非小細胞肺癌のマウスモデルに有効であり、腫瘍を移植したマウスの生存率は75%で、転移抑制は62%であった。つまり、tumor
stromaにおいてTAMの数を減少させることにより腫瘍血管増生や腫瘍増大の微小環境が変化させて、腫瘍の増殖や転移を抑制する。新しい癌免疫療法の可能性が示された。
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8月11日(金)
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- 担当者:横峰 和典
- 論文:Interleukin-2 signals
during priming are required for secondary expansion of
CD8+ memory T cells.
Matthew A. Williams. et. al.
Nature 441: 890-893,
2006 (June 15)
- 要約:IL-2は、in
vitroにおける主要なT細胞増殖因子として知られているが、急性感染時のT細胞応答におけるin
vivoでの役割は不明である。本論文ではIL-2あるいはIL-2受容体欠損マウス由来の骨髄細胞の混合キメラマウスを用い、この問題が検討された。その結果、病原体特異的なCD8+
T細胞に対するIL-2シグナル伝達は、増殖中のエフェクターおよびメモリー細胞数にはほとんど影響を与えないが、強力な二次応答を生み出すために必要であることが示された。これは、T細胞のレパートリーの形成あるいは選択の変化によるものではなく、また二次応答時のT細胞の活性化および増殖の過程で、IL-2を必要とすることを反映しているのでもなかった。つまり、IL-2には、二次応答時に十分な増殖が可能なCD8+
メモリーT細胞の発生を初感染時にプログラムするという、これまで知られていない役割があることが明らかになった。
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8月4日(金)
全体 Meeting
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- 担当者:松永 雄亮
- 論文:In vivo role of
ER-associated peptidase activity in tailoring peptides
for presentation by MHC class Ia and class Ib
molecules.
Jingbo Yan. et al.
J Exp Med. 203 (3):
647-659, 2006 (Mar 20)
- 要約:CD8陽性キラーT細胞(CTL)は、標的細胞表面のMHCクラスI・抗原ペプチド複合体を認識して細胞傷害性を発現する。これらのペプチドは、細胞質のプロテアソームによって内在的に合成された蛋白質から切り出され、その後、小胞体内(ER)のアミノぺプチダーゼ(ER-associated
peptidase1:ERAP1)によりトリミングされる。本論文ではERAP1欠損マウスを作成し、in
vivoにおけるERAP1の役割を検証した。その結果、ERAP1欠損マウスでは、細胞表面のMHCクラスIa分子(H-2Kb,
H-2Db)及びIb分子(Qa-2)の発現が減少することが明らかとなった。また、この変異マウスの細胞では、Kb-,
Db-, Qa-1b拘束性CTLへの自己及び非自己抗原の提示は、いくつかの抗原については減少したが、抗原によっては変化しないものや増加するものがあった。これらの知見は、MHCクラスIaおよびIb分子により提示されるペプチドの選択に、ERAP1が重要な役割を担っていることを示唆する。
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7月21日(金)
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- 担当者:頼仲 玉珍
- 論文:Naive and Memory
CD4+ T Cell Survival Controlled by Clonal
Abundance
Jason Hataye et al.
Science 312: 114-116,
2006 (April 7)
- 要約:免疫系が多種多様な微生物に対応できるのは、ナイーブT細胞の多様なレパトアが維持されていること、さらに、メモリーT細胞が長期に生存できることに依存している。ここに我々が提示する観察結果は、ポリクローナルなT細胞集団の中で、より頻度が低い(クローンサイズが小さい)ナイーブCD4細胞であるほど、よりよく維持・活性化され、また、そのようなナイーブCD4細胞に由来するメモリー細胞ほどよりよく維持されることを示すものである。特定のT細胞クローンにおいて、そのクローンサイズと生存期間が逆相関することは、クローン内でのT細胞の競合が、(特定のクローンに偏らない)多様なナイーブT細胞レパトアの維持を助け、また、メモリー細胞が長期生存できる環境を保つのに役立っていることを示唆する。
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7月7日(金)
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- 担当者:入江 厚
- 論文:Diacylglycerol and
Protein Kinase D Localization during T Lymphocyte
Activation.
Spitaler. et al.
Immunity 24: 535-546,
2006 (May)
- 要約:タンパク質セリンキナーゼであるプロテインキナーゼD(PKD)は、ジアシルグリセロール(DAG)に高親和性を示すシステインリッチドメイン(CRD)を持つ。無刺激のT細胞ではPKDは細胞質に存在するが、抗原提示に応答して、急速に免疫シナプスに局在する。このPKDの局在は、DAGが免疫シナプスに蓄積することにより惹起され、PKD-CRDへのDAGのアクセスのしやすさに応じて変化する。無刺激のT細胞においては、DAGは細胞膜に均一に存在するが、T細胞活性化の後は、免疫シナプスの中心に持続性のDAGの濃度勾配が形成される。しかしPKDは、一時的にしか免疫シナプスに存在しないことから、DAGに対するPKDの反応性は、何らかの別の機構により調節されていることが示唆された。以上の結果より、T細胞の活性化において、免疫シナプスはDAGが集積する場所であること、ならびにPKDがDAGの直接のエフェクター分子であ
ることが明らかとなった。
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